エピソード1
2010年某月某日、ヤッホードームでNPBのトライアウトが行われていた。
スタンドには何故か?前楽〇監督の野〇克也氏がいた。
カープからも川〇編成部長他3名が選手獲得のために訪れていた。
打席には、中〇紀、投手は赤いユニフォームに身を固めた左腕。

初球は外角低めにスライダーが決まり1ストライク。
第2球目は内角高めの釣り球だが明らかなボール。
第3球目、コントロールミスかカーブが甘く入りレフト方向に向けて
大きな打球が放物線を描いて〜だが、これがポールを境に左にわずかに切れて
ファウルとなる。
マウンド上で大きく息を吐く投手、これが試合ならキャッチャーが
マウンドに駆け寄り一息入れる所だがトライアウトなら自分で調整する
しかない。
もう一度大きな息を吐いて投球動作に入る。
第4球目、内角低めの球を強引に打ちに行く元ホームラン王、確実に
アジャストされた球道からスッとボールが沈んだ。
最後の球はシンカーうまいところに落ちてくれた。
その瞬間、スタンドから低くくぐもった声でボヤキが聞こえた。
『本当にアホやな〜、こんな選手をクビにする球団がどこにあるんじゃぁ
あのシンカー、わしがヤクル〇時代に見た高〇のシンカーみたいじゃった。
あの紀の打ち気をそらすマウンド度胸、これは二重丸だなぁ』
『なぁ、そう思わんかカープの方々よぉ』
=一同沈黙=
『まさか、お前ンとこじゃないよなぁ、あのピッチャー手放したのは』
=一同、下を向き沈黙=
『お〜っ、今度はあのミートのうまい坪〇がボテボテのセカンドゴロか〜
やるな〜、こりゃあうちで取るかな〜』
『うちって、どこかで監督やるんですか?野〇さん?』
『川〇〜まぁ今度新潟に来いや〜、お礼にうまいもんでもご馳走するでな〜
しかし、お宅も何やな〜磨きもせんでダイヤモンドすてるんやからなぁ
勿体のぅて罰があたるで〜』
=一同、おもむろに席を立つ=
エピソード2
2011年某月某日、セリーグ新球団の新潟リクシル・バンディッツは本拠地
ハー〇・オフ・エコ・スタジアムに同率3位のカープを迎えての3連戦、
初戦をメジャー帰りの黒〇で落としたカープは最早、背水の陣であった。
思えば、今シーズン、メジャーから帰って来た黒〇、新人の大〇の先発陣が
新たに加わり、中継ぎに左腕の2枚看板、〇島、川〇を配し、先行逃げ切りで
勝利を積み上げてきたが、夏場を乗り切った直後に、〇島が疲労による体調不良で
登録を抹消、川〇も疲れが見え始め、リードが守れないことが増えてきた。
先発の相〇をスクランブル登板させてはいるが、もう一枚左腕が足りない。
相手の、バンディッツは豊富な資金力により、2010年末から大幅な戦力補強に
成功、しかし、ここに来て中継ぎ陣がカープ同様に駒不足の状況であった。
老獪な指揮官、野〇監督はそれでも試合前に、緒〇代理監督に不敵な笑みを
浮かべてこう言った。
『うちにはまだ秘密兵器がある、あっと驚くな、いや驚くなと言っても無理か〜
絶対に驚くわな〜、バッカじゃなかろかルンバ〜♪』
試合が始まり、もつれた試合は両チームとも決定力を欠き、8回を終わって
1-1のタイスコア、しかし、9回の表カープが意地を見せて2アウト満塁の
チャンスに、打席には3番、岩〇選手が入った。
ここで、バンディッツは寺〇に代えて、ピッチャーTATU。
今日、1軍登録されたばかりの左腕である。
シンカーとカーブで簡単に泳がされたスイングは空を切った。
続いて2球ボールの後、ど真ん中のストレート、これは明らかに失投だ。
いただき〜とばかりに若きスラッガー岩〇のバットが容赦なく襲い掛かる。
その刹那、ど真ん中のストレートが視界から消えた。
文字通り、ストーンと落ちるフォークで空振り三振。
『あいつは誰だ?』つぶやいた緒〇代理監督に、今年から1軍投手コーチに
返り咲いた小〇コーチが言った
『山〇達也ですよ、去年までうちの育成選手だった』
『逃がした鯉(さかな)は大きかったですね』
以上はフィクションであり実在する酷似した団体、個人とは全く無関係です。