
最初に断っておくが、私は人の心がわからない人間である。
観察力が足りないのかよく人に騙される。
だから思い違いの部分があるかもしれない。
今日は土曜日で観客は平日の倍近く。
来て暫くすると『やっぱり来るんじゃなかった』と思った。
カープが無様な負け方をすれば尚更だ。
福井投手が7失点を喰らっている頃、サブグラウンドに居た
子供連れの男性が独り言のように
『あ〜あこれで福井は機嫌悪ぅしてサインはせんわ〜まぁどうせせん奴じゃけどの』と
つぶやいた。
私は今日も帰りにサインをするんじゃないかと秘かに思った。
口にこそださなかったが。
そして、もしそうするようなことがあれば大したものだとも思った。
そして、思いは現実になった。
最初は多すぎるファンに面食らったのか数人程度サインを書いて
バスに乗り込んだ。
しかし、バスは出発しない。
ロングティーの野手とエラーを理由に特守をしている選手待ちのために。
後部座席に座った福井選手は、窓を開けてサインを再開した。
これまたあまりに多すぎたために子供限定としたようだ。
こういう場合、オヤジはいつも受難者だ。
まあ仕方ないかと諦めていた矢先、何故か一度はバスに乗った福井選手が
再び外に降りて来た。
ここから怒涛のサイン会が始まる。
子供優先、この言葉を後悔するようになるのは時間の問題だった。
ローリングスのRのマークを付けた野球帽を被った少年野球チームの
子供たちがルールも何もないとばかりに福井選手の周囲に群がる。
餌を求める池の鯉みたいに。
駆け足で走ってきては前に前にと割り込んでいく。
他の大人の制止も聞かずに。


誰かが言う『スポーツマンがルールを守れないとダメだ、立派な選手になれないよ』と。
福井選手も困惑気味に『きちんと並ばないとサインをしません』と言い出した。
それでも子供たちは無理押しで帽子やソフトボール、ユニフォームの革ベルトにサインを強請る。
そうする内に、一方向だった列は福井選手を真ん中に3方向に伸びる。
最初からある列は蔑ろにされる。
それでも何とかサインを貰うことは出来た。
時折、グラウンドを気にしながらサインをする福井選手。
エラーをして特守をする選手がいる、打てなくてロングティーをこなす選手が居る。
7失点でゲームを作れなかった先発投手はそのままバスに腰掛けて彼らを待つ気に
なれなかったのではないだろうか?
それでなければ1時間あまりもサインを書き続けたりはしないだろうと思う。
彼が彼自身に与えた懲罰だったのでは無いだろうか?
posted by 和をん at 02:06| 広島 |
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福井優也
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